宇宙飛行士・土井隆雄氏が語る「宇宙から見た地球の美しさ」
イベントは、日本人初の船外活動や国際宇宙ステーション(ISS)への有人宇宙施設「きぼう」取り付けを成功させた土井隆雄氏の講演から始まりました。土井氏は「宇宙を歩いたその先へ―有人宇宙活動の挑戦」と題し、宇宙での生活環境や研究活動を記録写真や動画で紹介。初めて宇宙に飛び立った「コロンビア号」搭乗時に見た地球は「素晴らしく美しかった」と振り返り、宇宙での体験が「不思議であると同時に素晴らしい贈り物」であると語りました。
また、土井氏は新しい総合科学「有人宇宙学」を提唱し、人類が宇宙へと生活環境を広げ、持続可能な社会を構築する方法を探求する次世代の育成を目指しています。地球資源の枯渇や食料不足といった課題に対し、「有人宇宙学の研究で、宇宙空間への社会構築の条件を地球に適応すれば、SDGs達成に役立ちます」と、その将来性を語りました。現在、大気汚染を抑えられる木造人工衛星の開発にも尽力しており、2024年に放出された世界初の木造人工衛星「LignoSat(リグノサット)」に続く2号機の打ち上げを目指しているとのことです。
『機動戦士ガンダム』安彦良和氏が語るスペースコロニー秘話
講演に続き、漫画家の安彦良和氏が加わったクロストークセッションが開催されました。進行は、宇宙や天文分野に精通するライターの林公代氏が務め、宇宙開発の最前線から、ガンダムファンにはたまらない『機動戦士ガンダム』の制作秘話まで、多岐にわたる話題が展開されました。


安彦氏は、『機動戦士ガンダム』に登場する宇宙の巨大移住施設「スペースコロニー」について、「火星や月を地球化して移住する『テラフォーミング』構想は不可能だと思っていました。しかしアメリカの物理学者が提唱する人工的に重力を発生させる『オニール・シリンダー』を搭載した施設なら実現できるかもしれないと思い、設定に反映しました」と、その創作秘話を明かしました。ファンにとっては、作品の背景にあるリアルな科学的考察を知る、貴重な機会となりました。
また、安彦氏は世界初の人工衛星「スプートニク」打ち上げやアポロ11号の月面着陸といった、当時の宇宙開発の驚異的なスピードを振り返り、宇宙への夢を語りました。
環境問題と共生社会、そして未来へ
クロストークでは、環境問題にも焦点が当てられました。安彦氏は「1970年前後に環境運動が広まり、現在はさらに重要性を増しています」と危機感を語り、自身の漫画『銀色の路』でも公害問題を提起した経験に触れました。土井氏は「宇宙から見た地球は非常にきれいで、環境汚染がないように見えます。しかし地上では、地球温暖化を実感します」と、宇宙と地上のギャップを指摘し、「地球の環境を大事にしながら宇宙を目指すことが大事です」と述べました。

「共生社会」のテーマでは、安彦氏が縄文時代から弥生時代以降の争いの歴史を振り返り、「人間は変われません。ただ、時代に合わせて考え方を変えざるを得ません。宇宙での生活が可能になれば、環境に応じた新しい発想が生まれます」と語りました。これに対し、土井氏は「人類は地球だけで生活していたから、争いが生まれました。地球外からの脅威にさらされれば、団結して立ち向かうはずです」と、宇宙という新しい世界に向けて人類が協力する時代が来ることで、地球上の戦闘がなくなるとの未来像を示しました。
最後に、次世代の参加者に向けて、土井氏は「若い皆さんには、ぜひ宇宙を目指してほしいです」、安彦氏は「アポロの月面着陸の感動のように、多くの転機を超えた画期的な体験ができると夢を持ってください」と力強いメッセージを送り、クロストークを締めくくりました。
学生が報告する「自然の権利」
イベントの最後には、明治大学商学部所康弘ゼミナールの学生が、世界で初めて「自然の権利」を憲法に明記したエクアドルの環境保全活動や持続可能社会のあり方について報告しました。先住民族の自然思想、人間と自然が恩恵を与え合う関係の必要性、エコツーリズムの有用性などが説明され、学習の成果が発表されました。

今回のイベントは、宇宙と地球、そして未来を多角的に考える貴重な機会となりました。パルシステム連合会は、これからも利用者と共に暮らしを取り巻く環境の現状を知り、持続可能な未来に向けた取り組みを進めていくとのことです。
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